電話一本で会社を退職する方法と注意点、手続きのために会社に来いと言われたときの対処法
最終更新日:2020年11月13日
「会社に出向いて退職するのは言いにくい……」
そんな理由を抱えている人は意外と多いです。親の介護やパワハラで離職を決意したのならば、なかなか会社に出向くのは難しいもの。
この記事では、電話で退職を伝えてもいいのか? その場合は電話でどのように伝えたら失礼にならないのか? さらには、注意すべきことはあるのか?といったことを解説していきます。
目次
電話だけで退職手続きは可能!
まず、確認しておきたいのは、電話一本で退職の意思を伝えても良い! ということです。ポイントをまとめると以下の通りです。
- 退職理由を対面で伝える法律上の義務はない!
- 電話で退職できるが、マナー違反ではある
- 電話だと円満退職できないこともある
民法には、退職する場合は対面で伝えなくてはならないといった記載はありません。ですから、わざわざ会社まで出向く必要はないのです。
しかし、退職は、自分と会社にとって重要な話ですよね? 制服など借りているものがあるならば直接会って返したほうが良いに決まっています。電話でも伝えても良いけれど、社会人としてのマナーは違反しているということは意識しておきましょう。
電話で伝えてしまうと、会社側を怒らせて円満に気持ちよく退職できない可能性もあるのです。
ただし、親の介護のために、病院を離れることができないといった正当な理由があるのならば、会社もきちんと理解し、円満退職可能です。
退職することをいつ誰にどう話せばいい?
電話で退職することを伝えるときも、一般の場合と同じように直属の上司に伝えると良いです。ただし直属の上司によるパワハラなどがきっかけで辞めたいのならば、役職がひとつ上の上司や人事課に伝えるようにしましょう。
話し方としては、まずは退職の話を電話ですることになったことを謝ります。その後に、退職理由を伝えていきます。
退職理由を伝えたら、社員証や社用携帯電話などの貸与物は郵送しても良いかを確認しておきましょう。加えて、会社から受け取りたい書類も郵送で送ってもらうようにお願いしておくのも大切です。
また、電話で伝えた場合、「聞いていない」とごまかされることもあるので、通話内容は録音しておくと良いでしょう。
【文例3つ】電話での退職の伝え方
電話で退職を伝える方法は以下の通りです。
4ステップを意識して電話する
退職の電話は、以下の4つを順番通りに言っていくようにすると、うまく伝えることができます。
- 突然の電話で連絡することへのお詫び
- 退職の意思と理由
- 退職届は後日郵送などで提出すること
- お世話になったことへのお礼と辞めることへの謝罪
また、電話するときは、業務が比較的忙しくない時間帯を狙ってかけるようにしましょう!
一身上の都合の場合の例文
「お疲れ様です。〇〇です。お忙しいところ申し訳ございません。今後の勤務について相談させていただきたいことがあり、お電話いたしました。実は一身上の都合で退職させていただきたいと考えております。」
「出社してお話すべきところをお電話でのご連絡になり申し訳ございません。退職届につきましては後日郵送させていただきます。今まで大変お世話になりました。ご迷惑をおかけいたしますがよろしくお願いいたします。」
介護などの家庭の事情で辞める場合の例文
お忙しいところ失礼いたします。今後の勤務について、お電話させていただきました。実は、両親の介護に専念するため、退職したいと考えております。介護で手が離せず、電話でのご連絡となってしまい申し訳ありません。これまでもさまざまなご配慮をいただいたにもかかわらず、大変申し訳ございません。
体調不良の場合の例文
「突然の連絡になり大変申し訳ございませんが、今後の勤務の件でお電話させていただきました。このところの体調不良に関しまして、病院で検査をしたところ、長期的な治療が必要との診断を受けましたので退職したいと考えております。」
「体調が悪く出社困難のため、お電話という形での連絡になってしまい申し訳ありません。休職が続いていた上、退職という結果になってしまったことを本当に申し訳なく思っております。」
相手はあらゆる手で言い返してくる…。どうしたらいい?
退職理由などをきちんと伝えても言い返されたり引き留められたりする可能性もあります。よくある言い返しの手段と対策としては以下のようなものが存在します。
会社に一度来てほしいといわれる
電話で会社に行けないといっても、「書類などを渡したいから少しだけ会社に顔を出してほしい」と言い返される可能性もあります。
「少しぐらいならば」と考えてしまうかもしれません。しかし、一度、顔を出すとそのまま勤務を続けさせられることもありえます。
どうしても出社できないと伝えましょう。仮にしつこく言われたら労働基準監督署に相談しますと反論します。
電話はマナー違反といって怒鳴る
「電話で退職を伝えるなんて非常識!」「会社に来て説明しなさい!」といったように怒鳴られることもあります。
電話で退職を伝えてしまった引け目があるので、ついついおじけづいてしまうかもしれません。
しかし、過度に怖がらずに、「電話でお伝えしてしまったことは申し訳ございません。ですが、退職の意思は変わりません。ご理解いただけませんでしょうか。」と冷静に反論しましょう。
電話で辞めるなら有給は消化させない! と言い返される
電話で退職を伝えた場合、「残っている有給は消化させない」と言い返される場合が多いです。
しかし、有給取得は労働者の権利です!
有休を消化させないと言われたら、「人事に自分で申請します」あるいは「有給休暇取得を拒否するのは労働基準法違反に当たります。こちらの電話は録音しております。労働基準監督署へ告発しても良いでしょうか?」と反論しましょう。
もめそうな場合は代行業者に頼もう
電話で退職を伝えるのは、出社する場合と比べてストレスなども少ないです。しかし、問題のある職場だと、電話でも辞めるハードルが高いものだといえます。
このような場合は、代行業者に依頼するのが一番です。こちらの記事では、15社の退職代行サービスを一気に比較検討できるようにまとめています。ご自身に合ったサービス選びにぜひお役立てください。
また、弁護士が運営している「弁護士法人みやび」などの代行業者は法律などにも詳しいですから、きちんと有給も消化することができます。
手続きのために会社に来いって言われたら行かないといけない?
退職するには、退職届や返却物を会社に渡さなくてはなりません。そのために、一度だけ出社してほしいとお願いされることもあります。行きたくないならば出社する必要は一切ありません! 以下の方法で手続きを在宅で行うようにしましょう。
退職届や返却物は郵送する
退職届などは郵送してしまうことで、出社の必要はなくなります。
この時に大切なのは、退職届は内容証明郵便で会社に郵送するようにしましょう。内容証明郵便は「何を」郵送したのか公的に証明してくれるので、受け取っていないと言われる心配もありません。
この時に、「退職届」と封筒に書いて送ると、受取拒否をされる可能性もあるのです。封筒には何も書かずに送りましょう。
また、退職届以外にも、健康保険証、名刺、身分証明書、会社のカギ、制服といった備品は会社のものですから送り返す必要があります。送ったことを証明できる簡易書留などを利用して送りましょう。
会社から受け取る書類も郵送してもらう
退職の際には、会社から受け取らなくてはならないものもあります。具体的には以下のようなものがあります。
- 健康保険被保険者資格喪失証明書
- 厚生年金基金加入証明書(勤務先の会社で厚生年金基金に加入していた場合のみ)
- 年金手帳(会社に預けていないことが多い)
- 源泉徴収票
- 退職証明書
- 離職票
- 私物(不要なら処分を依頼しても可)
これらの書類は、次の職場で働くときや失業保険を受け取るときに必要です。必ず受け取るようにしましょう。
来社しないと書類を渡せないと言われた場合は?
電話で退職を伝えた場合、離職票を発行しないと言われたり、こちらでは私物に触れないと反論されたりしてしまうこともあるのです。このような場合は、「役所に相談します」と反論するようにしましょう。
健康保険、厚生年金、年金手帳に関しては社会保険事務所に、源泉徴収票に関しては税務署に、離職票がもらえない場合はハローワークに、退職証明書は労働基準監督署にそれぞれ相談するようにします。このように書類は、役所に相談すれば郵送してもらえます。
ただし、私物に関しては厄介です。民法162条などの法律により、原則的に会社は社員の私物を処分したり触ったりできないことになっていて、私物を自分で取りに来てほしいと言われたら従うしかないのです。
私物を取りに行きたくない場合は?
私物は、退職するまえにコツコツ自宅に持ち帰っておくのが賢明です。しかし、急な退職の場合は、私物を職場に残したままということもあるでしょう。郵送を拒絶された場合は、社員が少ない時間帯などを狙って取りに行くしかありません。
ただし、鬱などが原因となって辞めるならば、会社に行くだけでもつらいはず。このような場合は、代行業者の利用がかなりおすすめとなります。
代行業者は私物の持ち帰りなどもやってくれるので、安心して辞めることができるのです!
おわりに:電話での退職は可能だが書類の受け渡しに注意
退職は、対面でしなくてはならないという決まりはありません。ですから、電話でも退職することは可能です。
ただし、電話での退職は明らかなマナー違反。私物の回収や書類の受け渡しでトラブルが発生する可能性もあるので注意しておきましょう。