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【社労士監修】退職時に誓約書を書くのはなぜ?書かなくてもいいの?

最終更新日:2021年11月04日

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退職するときに、誓約書にサインを求められることがあります。誓約書の内容は、顧客情報の持ち出し禁止などの単純なものもある一方、サインすると損になってしまうものも存在しているようです。

この記事では、退職時に誓約書を書くのはなぜなのか? 書かなかった場合はどうなるのか? といったことを確認しておきましょう。

退職するのに誓約書…?そもそもどんな内容なの?

一般的に契約する際には「契約書」を、誓約する際には「誓約書」を作成するものです。契約書とは法的拘束力があり、裁判で有効な証拠となります。一方で、誓約書とは両者で交わす約束の覚書で一方当事者から差し入れられるものが多いようです。当事者の合意があり、公序良俗違反でない限り法的な効力があります。

一般的に、入社するときは「服装」や「人事異動」に関することで「誓約書」を提出することになります。しかし、職業や職種によっては退職するのに誓約書へのサインを依頼されることも存在します。

退職時の誓約書の中身としては、以下のようなものがあります。

  • 秘密保持・・・企業秘密の情報や仕事で得た顧客の個人情報などを外部に漏らしたり、悪用しないことが記載されます
  • 競業避止義務・・・同業他社へ転職することや同業の事業を起業することなど独立を制限することが記載されています

退職後、もしも誓約書に書いた内容に関する違反を行えば、損害賠償を請求されることがあります。たとえば、秘密保持の誓約書にサインしたにも関わらず、会社の企業秘密の技術などを他社に漏らして利益を得たりした場合が該当します。

また、競業避止義務に関しては、誓約書にサインをしたとしても、個人には職業選択の自由が存在しています。ですから、一般の従業員の場合には、退職後の競業避止義務は制約されると考えられていますが、一定の範囲では競業避止義務が認められることがあります。

退職後にライバル社からヘッドハンティングされた場合は、誓約書にサインをしていても、個人の権利が優先されるのが原則で、同業他社への転職だけでは、通常は義務違反とはならないと考えられています。

しかし、場合によっては競業避止義務違反として損害賠償などの責任を問われることもあります。

誓約書は書かないといけない?書くとどうなる?

誓約書は書かないといけないのか、書くとどうなるのかを確認しておきましょう。

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誓約書は納得いかなければ書かなくても良い!

誓約書はサインする義務はありません。退職する場合、会社側から「誓約書にサインしないのならば退職を認めない」などと言われることもあります。しかし、会社にはそのような強制力はありません

「サイン義務はありません!」といって断ってしまってもよいのです。

また、知らずにサインした場合、内容がまっとうなものの場合(たとえば「機密情報をライバル社にばらさない」など)は、誓約書の内容が有効になることがあります。

しかし、労働者にとって一方的に不利益となるとか、そもそも法令違反の内容の誓約書ならばサインをしても無効になり、法的効力を発揮しません。

具体的には以下のようなものは、労働者に一方的に不利益となり、労働基準法などの強行法規に違反しますので、無効になることが多いでしょう。

  • 退職によって発生した損害賠償の請求を受け入れるという内容
  • 残業代請求権利の放棄
  • 合理的な理由のない退職金減額への同意
  • ライバル社に就職することを一切禁じるなどの職業選択の自由を不当に制限する内容

ですので、上記のような内容の誓約書に誤ってサインをしても、無効になります。誓約書を書いていたとしても、労働者に不当な不利益になるものは法的効果が認められませんので、安心して良いです。

仮に、「退職金を放棄する誓約書に同意しているから、退職金を払いません!」と言われたら、「そもそも、その誓約書は法律違反なので無効です!」と反論すれば良いでしょう。

義務はないが、問題ない内容ならばサインしたほうが円満退職できることも・・・


誓約書にサインする義務はありません。しかしながら、「仕事で得た顧客情報を悪用しません」といった正当な内容の誓約書なのに、「誓約書には絶対サインしません!」と過剰に警戒して拒むと、会社との関係がギクシャクする可能性も。

「もしかして、顧客情報を悪用するつもりか?」と会社に警戒されて、退職を阻まれることも出てくるでしょう。

例えば、退職後に顧客情報流出といった事態が判明した場合に「あいつは誓約書を頑として書かなかった。あいつが漏らしたのではないか?」等とあらぬ疑いをかけられるかもしれません。

もっとも、もしも、誓約書の内容に問題がなさそうに思えても、自分では本当に問題がないかどうか自信が持てなければどうすればよいでしょうか。考える時間がある場合は、誓約書を持ち帰って保留にし、退職代行業者や弁護士などの法律の専門家に相談しても良いでしょう。

すぐ判断できないなら、「少し考えさせてください。」といったお断りを会社にしておくのも、社会人のマナーとして適切かもしれません。そうすると、会社とのトラブルがなくなり、スムーズに円満退社できる可能性が高まります。

また、とくに退職がスムーズにいかない理由として多いのが引き継ぎ問題です。こちらの記事では退職代行に引き継ぎを頼むことはできるのか?などを解説してますので、ぜひ参考にしてみてください。

退職代行に誓約書のサイン代筆を頼むのはできる?

誓約書の内容が問題なさそうでサインしても良い場合でも、「誓約書へのサインのために出社したくない」ということもあるでしょう。

このような場合、退職代行業者のスタッフに代わりに会社に行ってもらってサインの代筆はしてもらえないか?と考える人も多いはず。

しかし、サインや押印の代筆は絶対に不可です。誓約書の日付の記載・サイン・押印は誓約者自身が行わなくてはなりません

以下のような方法を使って、サインを自分でするようにしてください!

誓約書をまずは会社から自宅に送ってもらう!

誓約書の日付やサイン、押印を代理で行ってもらうのは、会社など相手方にとっては、本当に本人の意思なのか、誰かが勝手にサインしたのではないかなどといった疑問が生じかねません。法律違反ですし、後々別のトラブルに発展します。

ですから、退職代行業者あるいは自分で会社に交渉して、「サインをして返送するので誓約書を郵送してください」とお願いをしましょう。

ただし、この時に、引越しを完了していて新居の住所を会社に教えたくない場合もあるはずです。このような場合は、郵便を最寄りの郵便局へ留め置く「局留め」で郵送してもらうようにしてください。

局留めの郵便物は、指定した郵便局に留め置かれますので、自分で郵便局に受け取りに行くことになります。時間と手間がかかりますが、新居に上司が押し掛けてくる危険性がなくなるので、会社とトラブルがある場合はおすすめです。

郵便追跡サービスの利用もできるレターパックでも、局留めの利用はできますから、郵便物の大まかな所在がわかるレターパックで送ってもらいましょう。

その後は、サインをして誓約書を返送していくことになります。

内容証明郵便で返送する

誓約書は郵便などで返送すれば良いです。しかし、きちんとサインをして送り返したにも関わらず、会社が「誓約書が届いていない! やっぱり一度会社に顔を出してほしい」と言ってくる可能性があります。

このような危険性をなくすためにも、内容証明郵便で返送するようにしてください。

内容証明郵便とは、郵便局が「誰が、いつ、誰宛てに、どのような内容の郵便物を出したのか」を証明してくれる郵便です。内容証明郵便を利用して送ると、郵便局に誓約書の写しが残ります。それにより、「誓約書にきちんとサインして会社に送りました」という事実を郵便局が証明してくれるのです。

普通郵便代金に加えて、「書留料金」と「内容証明の加算料金(440円:2枚目以降は260円増)」は別途必要になりますが、会社側に誓約書が届かないといった反論の余地を残さないのでおすすめです。

こちらの記事では、退職届を受理してもらえないときにも使える「内容証明」の作成方法や送り方について、さらに詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

まとめ:退職時の誓約書は納得いかなければ書かなくてよい!

退職時の誓約書に労働者がサインしなくてはならない義務はありません!

仮に、会社側から無理強いされて脅迫されてサインをしてしまったとしても、法令違反などで労働者側に不当な不利益が生ずる損が発生する内容だった場合は、法律的に無効になるので安心してよいです!

ただし、内容に問題がない場合は、スムーズに退職するためにもサインをしても良いでしょう。この場合は、代筆は絶対に不可になるので、自筆でサインしてください。

仮に、会社に行きたくないなどの理由がある場合でも、誓約書を郵送・内容証明郵便で返送するようにして、自分でサインしましょう!

社労士からのアドバイス

この記事は誓約書の取り扱いについて焦点を当てたものですが、秘密保持義務や競業避止義務は、就業規則等で定められていることも多いと思います。
従って、これらが退職後も効果があるかどうか検討しておく必要があります。

秘密保持義務は、退職後でも効力が残ると考えられています。秘密を漏洩したり、それこそライバル会社に会社の営業秘密や顧客情報を持ち込んだりしたら、損害賠償や場合によっては不正競争防止法違反等により刑事罰も科されることさえあります。

一方で、競業避止義務は、本文の通り労働者の職業選択の自由の制限になりかねないので、適用範囲は制限されています。それでも、ケースによっては退職後の労働者に競業避止義務違反で損害賠償請求が認められたこともあるので注意が必要です。

退職後の競業避止義務についてさらに知りたい方は、弁護士監修の「従業員の競業避止義務|従業員が転職・独立するときに気をつけるべきこととは」をご覧ください。

監修者プロフィール

社会保険労務士 健康経営エキスパートアドバイザー玉上 信明 (たまがみ のぶあき)

三井住友信託銀行にて年金信託・法務・コンプライアンスなどを担当。
2015年10月65歳定年退職後、社会保険労務士開業。執筆・セミナーを中心に活動。
人事労務問題を中心に、企業法務全般や時事問題にも取り組んでいます。

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