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【社労士監修】休職からそのまま退職したいときの対処法と注意点

最終更新日:2021年10月13日

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休職生活を続けていて、「やっぱり今の会社で働きつづけるのは難しい気がする」と感じてしまうことはよくあります。また、少し休職をしてみて、辞めるかどうかを考えたいという人も多いでしょう。

このような場合に気になってくるのは、休職からそのまま退職に移行してもいいの? ということです。

この記事では、休職から退職するときの対処法や注意点、休職中にしておきたいことなどを確認していきます。

休職から退職する場合は、保険などで注意が必要

休職後に、復職することなく仕事を辞めてしまうことは可能です。対処法やポイントをまとめると以下の通りです!

  • 退職希望日の2週間前までに伝えることで辞めることができる
  • 会社などに行かなくても退職可能
  • 社会保険料の請求など、思いがけないお金の支払いが出る可能性があるので注意が必要

仮に、「休職後に復職します!」と約束していたとしても、都合が変わったのであれば、それを会社側に伝えれば辞めることが可能です。

退職の意思は、メールや電話などで伝えることも可能ですので、会社に出向いて何らかの手続きをする必要もありません

ただし、休職から復職せずに辞めてしまうと、退職金が出なかったり社会保険料の支払いを求められたりと出費がかさむ可能性があるので注意が必要です。

そもそも休職とは? 法律はどうなっているの?

休職とは、病気などが原因となり、労働者側が働けなくなったときに、労働契約は維持されながらも、業務に就くことを免除される制度のことをいいます。

間違えられがちな言葉に「休業」があります。
休業は、労働者の側では働く意思も能力もあるのに、会社の都合で仕事を休ませることをいいます(すなわち、会社の都合で労働者の労務提供を拒否することです)。

休職は、法律上設けなくてはならないという義務はありません。
それぞれの企業が独自に設定しているものなので、休職制度がない企業も存在しています。

ですから、休職をしたいならば、まずは就業規則の休職の項目を確認し、それに則って申請をする必要があるのです。
また、休職中に給与が出る会社もあれば、一切出ない会社も存在します。

退職を考えている人が休職中にしておきたいこと

休職は、法律で定められた権利ではありません。しかし、病気などを理由に休職ができたなら、以下のことを実践しておきましょう。

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まずは体調などを整える

休職のきっかけとして多いのは、心身の不調です。休職ができたならば、まずは心身を休めて、体調の回復に努めましょう。

また、ボランティア活動など、体調不良以外の原因で休職を取得したならば、その活動に精を出すようにするのも大切です。

今後の進退をしっかりと考える

心労などが原因で休職をしたならば、まずは病院などに通ってゆっくりと休むことが大切です。

しかし、職場のストレスなどで鬱になって休職になっている場合、復職後も同じ問題が発生してしまう可能性は十分にあるはず。

今後も、同じ会社で働けるのかを考え直しましょう。そして、もしも無理そうだと感じたならば、転職などを考えるのも一つの手です

もらえるお金はきちんともらう!

休職中は、会社から給与が支給されないということがほとんどです。そもそも、休職制度を設ける義務すら会社にはありません。しかし、お金がなくては生活に困ってしまうことでしょう。以下の制度が利用できるならば、きちんと申請してお金をもらうようにしてください。

有給休暇を活用する

心身の不調などで休む場合でも、有給休暇は取得できます。労働者の権利です。きちんと使い切るようにしてください。
これまで使っていなかった有給休暇は、権利の発生から2年分までは取得の権利があります。取りはぐれないように注意してください。

休業補償給付

労働災害などで休職する場合にもらえる給付金です。労働災害というのは「業務災害(業務に起因したケガや病気)」、「通勤災害(通勤の際のケガや病気)」の両方をいいます。給与の8割程度分のお金が給付されます。

※参考:休業補償の計算方法を教えてください。|厚生労働省

また、労働災害について詳しく知りたい方は次の記事を参照してください。
労働災害―社労士が解説する「ひとまずこれだけ」 | エムスリーキャリア 産業医紹介サービス

傷病手当金

業務災害や通勤災害以外の病気やケガなどで休職することになったときに健康保険からもらえる給付金です。給与の3分の2程度の金額が給付されます。

※参考:病気やケガで会社を休んだとき | 健康保険ガイド | 全国健康保険協会

介護休業給付金

介護休業とは、家族の介護のために、長期休みを取得できる制度です。通算93日まで休みを取得できます。介護休業を取得した場合に、一定の要件に該当すれば介護休業給付金が給付されます。給付金額は賃金の約67%がめやすです。もしも、家族の介護のために休職しているのならば、ハローワークにきちんと申請をして、受け取るようにしましょう。

※参考:ホーム|厚生労働省
    第12章 介護休業給付についてPDFより

休職中にやっぱり退職したいと思ったら

休職中にやっぱり復職が無理だと感じたならば、退職することが可能です。一般的な退職と同じように、退職したい日の2週間前までに伝えておけば大丈夫です

伝え方としては、直接出向いて伝えるのが最も誠意が伝わりやすいといえるでしょう。しかし、休職中の会社にはなかなか行きにくいものです。このような場合は、電話やメール、郵便などで伝えると良いでしょう。

退職を伝える相手は、基本的には直属の上司です。しかし、直属の上司に問題があって伝えにくいならば、直属の上司のさらに上位の役職者や人事課などに直接伝えると良いでしょう。

退職届は、会社独自のフォーマットがあればそれに従います。退職理由は細かく書く必要はなく、一般退職と同じように一身上の都合と書いておきましょう。

もしも退職届を自分で書けない場合、代筆は可能なのか?どう対処すべきか?をこちらの記事で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

休職からの退職で注意しておきたいのはお金のこと

中身が空の財布を見せる悲しそうな表情の女性

休職からの退職で気を付けたいのはお金のことです。具体的には以下のようなことを確認しておいてください。

失業保険がもらえないことがある!

休職中は、業務をしていないだけで名目上は会社の社員です。したがって、失業扱いにはならないので失業保険を受け取れません! しかし、休職後に退職したのならば、失業扱いになるので失業保険(雇用保険の基本手当)が受け取れるようになります。

ただし、失業保険は本人に就職の意思・能力があることという条件があるのです。そのため、病気や怪我から回復しておらず、働くことができない状況ならば失業保険はもらえません! 就職の能力がないと判断されるからです。

※参考:ハローワークインターネットサービス – 雇用保険手続きのご案内

受給要件については、次を参照してください。
ハローワークインターネットサービス – 基本手当について

失業保険は受け取れなくても傷病手当金などは退職後も給付される

病気などで働けないならば、休業補償給付または傷病手当金の対象となることを確認しました。
これらの給付は、退職後も受け取り続けることが可能です! ですから、失業保険が受けられなくとも、すぐにお金に困るということはありません。

退職金も受け取れる

休職中にそのまま退職となったとしても、きちんと退職金を受け取ることは可能です。

ただし、退職金はいくら支払わなくてはならないといった決まりは、法律上は存在していません。会社ごとの就業規則などの定めに従って退職金は発生します。

ですから、仮に勤続年数といった就業規則の退職金支給の条件を満たしていないならば、退職金が発生しないこともあるのです。

退職前には就業規則を読み込み、退職金について会社のルールを確認して、退職金をもらえるかを確認しておきましょう。できれば会社の人事部などに詳しく確認された方が良いでしょう。

また、この際に気を付けたいのが、休職期間は一般には勤続年数にカウントされないということです。入社から退職の期間が長くても、休職年数がかなり長かった場合は、退職金が発生しないということがよくあります。

退職時に出ていくお金もあるので注意する

最初に確認しましたが、退職する場合、社会保険料の請求がくることもあります。実は、社会保険料は休職期間中も、働いていた時と同じ分だけの支払いが必要です。そして、保険料は、休職期間には請求せず、復職してからまとめて請求されることが多いのです。休職が長引くと、数十万円の金額になっていることもあります。退職時に、この金額を一括で請求されることがあるので、あらかじめ金額を確かめて、お金を準備しておきましょう。

また、年金については、会社は通常は厚生年金に加入しているでしょう。保険料は会社と労働者が折半で支払っています。退職後は自分で国民年金へと切り替える必要があります。国民年金の納付書は退職後すぐに届くので、その分のお金を準備しておく必要もでてきます。

なお、健康保険(協会けんぽや健康保険組合)についても、退職後は国民健康保険に切り替えることになります。但し、退職後2年間は健康保険の任意継続被保険者として自分で健康保険の保険料を払って加入を続ける事もできます。

一般には任意継続の方が有利な場合が多いようです。但し、任意継続には退職後20日以内といった短い期間の間での手続きが必要です。このあたりも会社の健康保険の担当者に制度の内容をよく聞いて、手続きを進めてください。

※参考:任意継続とは | こんな時に健保 | 全国健康保険協会

休職からそのまま退職するならば代行業者に頼むのもおすすめ!

休職からそのまま退職する場合、保険のことなどが少し複雑です。さらに、休職の状態から退職希望を出すのを難しく感じる方も多いでしょう。会社の上司などに会いたくないと考える人もいるはず。

ですから、休職からそのまま退職するならば代行業者に頼むのがおすすめ!

代行業者にお願いすれば、面倒な手続きの相談に乗ってもらえるだけでなく、上司と顔を合わすことなく退職できます。心理的な負担も軽減されますから検討してみてください。

休職中に退職代行を使ったら、退職日はいつになる?

退職は辞める意思表示をしてから14日が経過すれば雇用契約が終了することになっています。これは、休職中でも変わりません。

ですから、基本的には代行業者が会社に辞めることを伝えて、14日経過したときが退職日になります。

ただし、休職中ならば、会社側から「本日付で退職にしては?」と提案されることもあるようです。あなたが会社の提案に納得するのであれば、退職代行業者が会社に辞める意思表示をしたときが退職日になります。

こちらの記事では、おすすめの退職代行業者をまとめて比較検討できます。ぜひあわせてご覧ください。

おわりに:休職から退職することも可能!

休職中であっても、そのまま退職してしまうことは可能です! 通常の場合と同じように、遅くとも退職希望日の2週間前までには会社側に意思を伝えるようにしましょう。退職は会社に行かなくてもできるので、上司などと顔をあわせる必要もありません。

ただし、退職の際には、社会保険料の支払いを一括で求められたり退職金が受け取れなかったりといった金銭面のトラブルが発生することもあるのです。注意事項などを確認しつつ、退職するようにしましょう。

社労士からのアドバイス

休職時には、ご自身は、心身の不調や経済的な負担など様々な問題に直面されていると思います。この記事で一通りの問題は取り上げていますが、休職の事情は個人ごとに様々な相違があるでしょう。会社とはなかなか相談しにくい、といった事情もあるかもしれません。

そのような場合には、公的な相談窓口もぜひご活用ください。
都道府県労働局の総合労働相談コーナーがお勧めです。相専門の相談員が面談もしくは電話で対応してくれます。予約不要、利用は無料です。

また、本文中でも触れましたが、ケガや病気、心身不調などで休職している場合、その原因が業務による場合などは、労働災害として認定され、手厚い給付が受けられることもあります。これも総合労働相談コーナーや労働基準監督署などへの相談も一度検討してみてください。

監修者プロフィール

社会保険労務士 健康経営エキスパートアドバイザー玉上 信明 (たまがみ のぶあき)

三井住友信託銀行にて年金信託・法務・コンプライアンスなどを担当。
2015年10月65歳定年退職後、社会保険労務士開業。執筆・セミナーを中心に活動。
人事労務問題を中心に、企業法務全般や時事問題にも取り組んでいます。

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